アイドリング
月曜日、晴れ。氷点下7度。
朝ご飯は七草粥。
しいちゃんは今日から仕事始め。朝の4時まで眠れずにいたとのことで、寝起きがキツそうだった。
「私、今、したいことは、ズボンね」
「ズボン?」
「ズボンを脱ぎたいね。脱いでさ。ズボンだけじゃなくて」
「ズボンだけじゃね」
「パンツもさ、脱ぎたい」
「そうなんだ。まあ、まずは着替えないとね」
「うん、そんで、付け根から、思い切り出したいの」
「え」
「まあ端的に言えばおしっこをしたいんだけどね」
「そんな長々プロセスをこと細かに言わなくたって、五文字でいいじゃない、トイレ行きたいって」
「平たく言えばそうだね。でも『トイレ行きたい』は五文字じゃないけどね」
「そうなんだ…あーほんとだ。全然五文字じゃないね」
そんなことを話した。
ピンピンコロリの話もした。
ピンピン生きるのもいいけど肝心のコロリへの努力を忘れてる者が多いことをしいちゃんは長々と憂い続けていた。
「長い休みだったから、無理せず今日は一日暖気運転で、アイドリング運転でいくといいよ。」
と私が言ったら
「節子、それ、運転違う…その運転、前に一向に進んでないヤツや」
と言われた。
今日は一日フル稼働であっという間に過ぎた。
夕ご飯は、シシャモのフライに、大根のカニカマとミツバのあんかけ煮。
帰りにUNIQLOに寄って、注文していたカシミアセーターを受け取った。